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第25回 患者が増える医院の基本(2)

北海道も10月に入り、朝・夜のそよ風に冷気を感じるこのごろです。又、暖かい鍋の食欲を誘う本格的な秋の季節になりました。

前回は自医院についての自己評価を一度検討してみる事が重要であるとの提言をいたしましたが、どのような自己評価であったのでしょうか。

(1)自医院のマーケティング

患者アンケートとともに、増患者戦略を立てる上で欠かせないのが診療圏調査です。地域の人口動態や高齢化状況、競合医療機関の影響などをつかむとともに、自医院の診療圏がどのような状況にあるか客観的に把握する必要があります。今回は簡易な調査方法を紹介します。

「カルテを利用する。」

  • 一般的には自医院を中心に、半径1kmとか半径500mといった診療圏を設定し、その中の人口と受療率を基に圏内全体の推計患者数を算出します。その推計患者数を、診療圏内の競合医療機関の数で割り、自医院の来院患者数を予想します。ですが、診療圏調査は、もっと簡単なやり方でできます。カルテには、患者の住所、年齢、性別など様々な情報が記載されています。こうした貴重な情報を診療圏調査に活用しない手はないでしょう。自医院の職員の協力を得て“手作りの診療圏分析”をするのも良いのではないでしょうか。

「事前に準備しておくもの」

  • 国勢調査の結果や住民基本台帳などの人口統計を入手します。各市町村には細かい地区ごとに、性別・年齢別の人口を集計した資料があります。
  • 自医院所在地の周辺地図を入手します。市町村単位に分かれている市販の地図で、地図上の距離がはっきりわかるものがよいと思います。又、今後の道路計画などを確認するためにも、できるだけ新しい地図がよいでしょう。
  • 2~3ヶ月分のカルテを、過去何年分かにわたって用意します。その際、どの年も同じ月のカルテをそろえる必要があります。また有床診療所の場合は、1年間の入院患者すべてのカルテも用意する必要があります。

「地区ごとに患者数をプロット」

  • カルテに記載された患者の数を、診療圏内の地区別に数えていきます。小児科では、幼児・小中学生別に、循環器科では65歳以上と65歳未満に分けて数える必要があります。
  • 表にまとめ、地区別の患者数を、地図の上にプロットしていきます。大きな黒丸は1つ10人・小さい黒丸は1つ1人を表すなどあらかじめ決めておくとよいでしょう。 こうして完成した地図を見れば、現在の来院患者の地域分布が把握できます。
  • 競合する医療機関を地図上にプロットし、診療圏が拡大しているか、縮小しているか検討する必要があります。もし、縮小の傾向が見られるのであれば、新しい診療所の開設や、既存の病院が新しい取り組みを始めていることが、原因となっているかもしれません。こうした原因を突き止める目的で、競合する病院や診療所を、地図上にプロットしていきます。

「診療圏の変化をつかむ」

  • 最後に、診療圏を地図上に設定し、その変化を観察します。おおむね来院患者の80%が来ている範囲が、その医療機関の診療圏だといえます。訪問診療などを行っている場合、離れたところにぽつんと丸がプロットされることがあるますが、こうした地区は診療圏内とみなしません。
  • こうした作業を、1年前のカルテ、2年前のカルテで繰り返し行うことで、診療圏が拡大傾向にあるのか、縮小傾向にあるのかが一目でわかります。

いかがでしょうか。自医院の診療圏調査をあらたな気持ちで再度挑戦してみることが、自医院の客観的評価になり課題を発見し、医療機関の改善につながるのではないで しょうか。

参考資料:傷病分類別受療率

入院(人口10万対) 外来(人口10万対)
1位 精神障害 263 消化器系 1,019
2位 循環器系 250 循環器系 798
3位 新生物 134 筋骨格系 699
4位 損傷・中毒等の外因 95 呼吸器系 649
5位 消化器系 66 内分泌・代謝系 270
精神障害・循環器系が減少に転じ、新生物の入院は増加傾向 筋骨格系の外来受療は緩やかに増加、その他は横ばい・減少に

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