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第31回 患者が増える医院の基本(8)

6月を向かえ、北海道にも暖かい日々が訪れています。札幌もよさこいソーラン祭り・北海道神宮の祭りが開催され、多くの人々が外出し、活気あふれる季節になりました。

さて、前回は診療時間の取り組み方について説明しましたが、今回は、待ち時間短縮と職員の接遇ポイントについて説明をいたします。

待ち時間短縮への処方

患者の声として最も多いのは、「職員の態度・接遇への不満」・「待ち時間への不満」です。待ち時間に不満を持つ人の不満の中身を見ると、「診察終了後に薬を受け取るまでの時間」・「診察までの時間」・「会計の待ち時間」・「検査などの待ち時間」などです。

①患者の心理を考える

患者またはその家族の身になって考えれば、待ち時間への不満を口に出すのは無理もありません。具合の悪い身体で、病医院を訪れる際の心細さは別格です。それが初診であり、しかも初めて受診する医療機関であったりすれば、受付け方法やシステムもわからず、不安はつのるものです。

患者は苦痛をこらえながら、不安いっぱいで受付の前に立つ。この時、患者の心は、早く受付をすませて診察を受けたいという思いです。このような状態では、ふだんなら待たされても何とも思わない人でも、我慢ができないものです。待ち時間対策を考えるならば、こうした患者の心理を常に念頭に置かなければなりません。それを職員に伝え、思いやりのある態度で患者に接するように教育をする必要があります。そうすれば、職員一人一人が、患者を待たせない努力をするようになります。受付、検査、会計、調剤など院内各部門の職員の努力や創意工夫によって、待ち時間短縮の効果はかなり上げることができるでしょう。

②待ち時間を知らせる

待ち時間の長さは、実際に待っている時間の長さだけで決まるものではありません。自分が思った以上に待たされていると感じた時や、どれだけ待てばよいのか見当がつかない場合に、患者は待ち時間が長いと感じます。したがって待ち時間対策として、診察までの待ち時間や、検査、会計、薬などの待ち時間を表示することは効果があります。最近では、発光ダイオードや液晶を利用した大型の患者向け表示装置も登場してきています。診療所の場合、こうした大がかりな装置を導入しないでも、来院患者数やそのうち概に診察を終えた患者数などを、受付に掲示するだけでもいいでしょう。

③快適に待てる配慮も

待ち時間の感じ方は、待っている環境によっても左右されます。待合室が暗く、汚く、狭かったりすると、患者は待ち時間を長いと感じるようになります。もちろん、いすが足りずに立ったまま待たせるようでは問題外です。そこで、快適に待ってもらう工夫が必要になります。壁もいすもカラーコーディネートされていれば、診療所全体に落ち着いた雰囲気が醸し出されます。一人ずつ腰をかけられるいすが設置されていれば、座って待つのも楽です。又、壁に季節に合った絵画が掛けられていたり、観葉植物が置かれていたりすれば、患者は目を休めることができるでしょう。

ソフト面での工夫も重要です。待合室で、呼ばれるのをただ待つだけではすぐに退屈してしまいます。しかし、耳障りの良いBGMが流れていれば、話は別でしょう。また、PR誌や患者教育用のパンフレットを待合室に置いておけば、患者が手にとってながめることができる上、院長の診療方針を理解してもらうことにもなり、一石二鳥になります。

④メリットの大きい予約制

待ち時間の短縮を図るためには、患者が一定の間隔で来院してくれればよい──そのための有効な手段となるのが、予約制の導入です。最近では携帯電話やパソコン等を利用した診療所向けの簡単な予約システムも販売されています。患者は診療所に電話かけ、パソコンの指図に従って数字をプッシュすれば、自動的に予約ができます。自分が予約するばかりでなく、他人の予約状況も知ることができます。この予約システムにより、診察までの待ち時間が短くなり、朝早くから受付に並ぶ必要ながなくなります。その上、自分の診療を受ける時間もおよそわかるので、イライラすることもなくなります。診療所にとっても、この予約システムは大きなメリットをもたらします。受付のために朝早くから職員が出勤したり、昼休み時間中も職員が院内で待機している必要はなくなり、患者が来院する前にその人のカルテが用意できたり、治療の準備ができるなど、業務に余裕も生まれます。医師にとっても、自分のスケジュール管理がしやすくなるなどのメリットがあります。もちろん、高齢者の患者が誤りなく使えるか、急患にどう対処するか、といった問題点は残されています。

だが、こうした予約システムの導入により業務を効率化し、空き時間を患者の話をじっくり聞いたり、十分な説明を行うことに充てれば、患者との信頼関係がより強固になるのは間違いありません。これは地域における自院の評価を高め、結果として集患につながることが期待できるでしょう。待ち時間短縮への取り組みを検討している診療所は、こうした予約システムの導入を検討してみるのも良いでしょう。

職員等の接遇ポイント

病院・診療所が増えた今、患者と病医院との関係は、かってのような医療機関(医師)優位ではなく、患者優位に逆転してきています。こうした中で、患者が病医院を選ぶ物差しの一つとして、「医師の人当たりの良さ」がクローズアップされてきています。腕がいいのはもちろんだが、医師やスタッフの言葉遣いや物腰がていねで、気持ちよく診療うけられる。――患者が求めているのはこういう医療機関です。

①職員の態度が患者減につながる

通常の外来診察を始める前に、検査だけを実施している診療所があります。特に、消化器内科ではこうしたところが多いです。胃透視や内視鏡検査など、検査前の食事が禁止される検査を行うからです。

又、会社員が成人病健診の一環として、こうした検査をうけやすいように配慮し、朝のうちに検査を行う診療所もあります。また、肝臓病や糖尿病などの慢性疾患患者を対象に、土曜日を中心とした予約診療を実施している診療所もあります。病状に大きな変化が見られない慢性疾患の患者とって、仕事で忙しい平日に医院に行く時間を取られるのは、できれば避けたいことです。こうした慢性疾患の患者にとって、仕事に影響せず待ち時間なしで診療を受けられるのは、大きなメリットになります。

外科系

人当たりの良さが求められるのは、医師だけではありません。受付の職員や看護婦の態度も、その施設の印象を左右します。

ある小児科医院でこんな出来事がありました。診療時間終了間際に、赤ちゃんを抱えた母親が飛び込んできました。待合室に入ると同時に、赤ちゃんは吐いてしまった。困惑している若い母親に、20代後半の受付の女性は無言で雑巾を渡し、受付へ戻っていきました。

この様子を待合室にいた患者たちも目撃していました。こんな冷たい応対を目にすると、当事者である若い母親はもちろん、目撃していた患者たちも、この医院に対して信頼を寄せる気持ちにはなれないのは当然でしょう。受付の女性の不親切な態度からみて、院長の診察や治療も同じように粗雑なのでないかと思うのが患者の心理です。受付の女性は、なにげなく雑巾を渡したのかも知れませんが、彼女の態度は患者数の減少に結びつきかねない問題の状況だったのです。

受付の職員から、看護婦、そして院長自身も、患者を不快にさせないような接遇の心得を身につける必要があります。

②受付や待合室での応対

患者が最初に接する、いわば医療機関の顔となるのが受付窓口です。受付職員の言葉遣いや態度によって、病医院の評判が決まると言っても過言ではありません。受付窓口のイメージは診察室まで尾を引きます。事務的な態度を排除し、患者の立場に立った応対を心がける必要があります。

具体的には、患者を明るくさわやかに、快く迎えることが大切です。外来患者に対する「こんにちは」、「おはようございます」という挨拶は、病医院の職員から先に声をかけるようにしたいものです。また、初めて来院した患者には、できるだけ親切に受診の仕方を説明する必要があります。この際、他の患者がいる前では、「どうなさいましたか」、「どちらがお悪いんですか」と、決して尋ねない方がよいでしょう。口では言いにくいことや、他人に聞かれたくないこともあるので、問診表を使うなど工夫する必要があります。とりわけ、お年寄りや身体が不自由な患者に対しては、聞かれたことだけに答えるのではなく、相手の意図を的確につかんで対応することで、患者に安心感を与えるようにしたいものです。

③診察室での応対

診察室では医師と一対一になるため、患者の不安は高まってきます。医師はこの不安を取り除いてあげるような態度で患者に接する必要があります。大切なのは、相手を見て目線を合わせたり、患者の身の回りのことに細かく目を配ることも必要です。相手をみて、こちらから先に「○○さん、おはよう」と、名前を入れて話かけるように心がけ、また特定の患者にのみに声をかけるのではなく、公平に声をかける必要があります。

服装も接遇の重要な要素です。診察室では衛生的で清潔感にあふれた服装、身だしなみは欠かせません。看護師が白衣を着用するのはもちろん、事務職員もこざっぱりとした服装をし、化粧、毛髪、爪先にも留意が必要です。診察室を出た患者は、検査室か処置室に向かいます。検査、処置といった場面では、患者の心理的圧迫感や不安感はさらに大きくなりますので、患者心理に十分配慮した接遇が重要になります。診察が終った患者は、薬をもらい、会計で精算します。薬局では、ただ薬を渡すのではなく、薬の種類や量、服用方法などを患者に十分に説明する気持ちが不可欠です。

医師や看護師、薬剤師にとって、薬の処方は常識かも知れませんが、患者にとっては初めてのことが多いので、患者が納得するまで説明をするという気持ちが大切です。 また会計では、「お大事に」の一言を忘れないように心がけたものです。

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