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第34回 医院開業の基本とポイント(1)

10月を向かえ、大雪山系に初雪も降り、冬将軍がもうそこまで来ています。秋の味覚を収穫する季節ですが皆様はどのようにお過ごしでしょうか。

今回より、医院開業の基本とポイントについて説明をしたいと考えております。新規開業する場合、多くの信頼できる関係者と打合せ、交渉、プランづくりが必要となります。

経営理念の策定

医療の経営環境は年々厳しさを増していますが、そのなかで開業し、医療活動と経営活動の両面を遂行していく必要があります。開業に当たり院長の経営理念(医療理念)を明確化し、また開業および開業後の夢を文章化すると良いでしょう。経営理念は院長の経営使命感といってもよいでしょう。

どういう目的、内容を持って開業するのかという問いかけを院長自身にすることによって、より的確な経営理念が譲成されます。経営理念は、医院を経営するに当たって、医師が持っている魅力的な人間性、人生観、価値観、態度、信条とそれにもとづく行動基準にあたります。

具体例

  1. ①近代化 = 新しい医療の追及
    ②清潔感 = 清潔を求める
    ③専門性 = 専門的な診療科目
    ④親近感 = 医師との親近感
  2. 当院は地区内のすべての住民にもっとも信頼される医院を目指す。
  3. 当院は、何もまして患者の生命の安全を第一主義とする。
  4. 当院は○○科においては、全国のどの医院にも負けない医療を行うことを使命とする。
  5. 当院は家庭医としての機能を重視し身近なホームドクターを目指す。
  6. 当院は○○科の高度専門医として適正ない医療サービスを提供する。
  7. 当院はスタッフと一致協力して地域に合った医療、看護、介護サービスを提供する。
  8. 当院は21世紀の時代に合った医療を行う。
  9. 当院は地域密着型の医療を行う。
  10. 当院は看護+介護+福祉の医療を目指す。
  11. 在宅医療を中心に診療所経営を行う。

経営方針(診療方針)の検討

診療所経営方針の検討

診療所経営方針と経営基本事項を決定していくためには、経営理念の策定に基づき外部環境分析と内部環境分析を充分に把握・分析していく必要があります。外部環境分析とは病医院を取り巻く経営に影響を与える事項で、政治、経済、社会の変化、動向です。

外部環境は病医院でコントロールすることができません。これに対して内部環境は医院でコントロールできる事項です。開業計画においては開業医の得意診療分野、開業場所の選定、自己資金、借入金、設備投資額、スタッフの採用などです。外部環境は開業医で変えることができません、診療所経営をいかに外部環境に適合し対応させていくか重要になってきます。経営は環境適応業とよく言われますが、医院も例外ではありません。

(1)外部環境分析

①厚生行政の方向性

国の医療行政を行う厚生労働省の方向に合致した、あるいは将来を先取りした診療方針を実行していくことが必要です。具体的には医療提供に関する理念、病院、診療所の開設等、医療計画、医療法人に関して規定し、わが国の医療提供体制に関する基本的法規を定めた医療法が参考になります。
(第5次医療法改正)

第5医療法改正は平成18年6月21日に公布され、「患者の視点に立った、患者のための医療提供体制の改革」を基本的考え方として、医療法、医師法、歯科医師法、保健師助産師看護師法に加え、薬事法、薬剤師法など計7本の関係法律について、制度全般にわたる改革を行うものです、具体的には、患者等への医療に関する情報提供の推進、医療計画制度の見直し等を通じた医療機能の分化・連携の推進、医療従事者の資質向上等を通じた内容となっています。

②診療報酬の改定

平成22年度診療報酬改定においては、「救急、産科、小児、外科等の医療の再建」及び「病院勤務医の負担の軽減(医療従事者の増員に努める医療機関への支援)」等について重要課題として改定されています。

③国民の医療機関を選択する意識の変化

患者ニーズに合わせます。例えば清潔感あふれる医院、駐車場スペースが十分確保されていることは勿論のこと、今後患者が自分にあった医院を主体的に選択することになります。ホームページを媒体として病医院の情報提供が今後ますます普及し、病医院選択の重要な要素になってきます。

④地域の医療ニーズの把握

イ、地域の概況
各市町村が発行している市町村勢要覧などが参考になります。

ロ、人口の変化
各市町村住民課等で毎年統計表がでています。条丁目(町)別の人口は各市町村のホームページでも大部分入手できるようになっています。

ハ、受療動向
各都道府県の福祉保健部に問い合わせるか、厚生統計協会発行の「地域医療基礎統計」などが参考になります。

⑤その他、高齢者社会の到来・出生率の低下・疾病構造の変化・医療供給の過剰化等についても把握しておくことが重要です。

(2)内部環境分析

①医師の専門、得意分野(診療範囲の検討)

診療方針は診療の柱となる医師の専門、特徴に決定づけられる。診療所の場合、逆にいうと医師として自分の特徴を充分に伸ばすことのできる地域を選定することが求められます。

②医師の年齢

開業する医師の年齢によっても開業計画のたて方が変わってきます。開業して20年は医院経営を続けていくのが一つの目安になります。診療科目によっても若干相違しますが、70歳で交代、廃業であれば、遅くとも50歳で開業することが必要となります。

③自己資金、担保、保証人の状況

自己資金額や担保、保証人の状況により、借入金額、施設の形態なども変わってきます。

外部環境及び内部環境分析により、よりよい開業計画を設定することが成功する開業の基本であり重要なポイントになります。

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