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第35回 医院開業の基本とポイント(2)

11月を向かえ、朝夕の寒さが気になる今日このごろです。天気予想によると今年の11月は昨年より暖かい日々になるそうですが、変化の激しい季節であり健康に注意が必要な時期になりました。

前回は、新規開業に必要な理念、内部・外部等の環境分析について説明をしました。診療形態について説明をいたします。

施設の規模、診療形態の検討

(1)新規開業か承継開業か

新規開業は医師の考えている診療ができますが、地域医療ニーズ、施設規模などを充分検討する必要があります。

承継開業の場合は患者を確保されているというメリットはありますが、デメリットとしては既存施設をそのまま使用しなければならないので、開業希望の医師が思っているとおりの診療が必ずしも出来るとは限りません。

(2)診療所の場合、何科を開設するか

者からみて診療所を選択する情報は、診療科目しかありません。

医師法に規定された診療科目であれば自由に標榜することができるので、自分の専門科目以外に地域医療の貢献から関連する診療科目は、例1のように標榜することも一方法です。また、施設規模からみて内科と皮膚科を比較すると、例2のようになります。

例1
内科――― 内科の他に循環器科を併科する。
外科――― 外科の他に整形外科も標榜する。

例2
内科――― 医療機器類が多く、スペースが広く必要です。
皮膚科――― 医療機器類が非常に少なく、スペースは広くいりません。

(3)プライマリーケア重点か、高度な専門医療重点か

診療科目によってプライマリーケアか高度専門医療を目指している、又、同一診療科であってもプライマリーケアを目指すか、高度な専門医療を目指すかによって施設規模、スタッフ、診療圏なども異なってきます。

(4)無床診療所か有床診療所か

地域医療ニーズと医師の診療方針に決まってきます。
一床単価も地域によって、かなりのバラツキがあります。

(5)一戸建診療所かビル内診療所(ビル診)

診療科目や開業資金により、郊外の住宅地の一戸建診療所(住宅付き)とするか、オフィス街や駅周辺のビル内診療所において開業するかについて検討する必要があります。それにより施設規模も変わります。なお、ビル内診療所で特に注意すべきことは、ビル自体に診療所に必要なX線等医療用機器の設置に必要な電気工事、患者用トイレ、洗面等の給排水工事ができているか、また、放射線防護工事等が可能であるかを確認しておく必要があります。両形態のメリット、デメリットは表1-1のとおりです。

(6)商業施設内ビル診療所

市街地活性化のためにあるいは土地有効活用のために、新たな商業施設や再開発ビル(以下商業ビル等という)が各都道府県で計画されています。このような商業ビル等は、日常生活品である最寄品はもとより買回品、さらには専門品を揃えた大型ショピングセンターとなる場合もあります。又、駐車場も相当数配置し、かなりの集客力がある場合も想定されます。

このような商業ビル等に必ずプランニングの段階から内科を中心とする診療所や歯科診療所を計画している場合があるので、このような情報を収集して開業地としての選定候補に上げることも必要です。

(7)大型住宅団地開発に伴う診療所

郊外に大型住宅団地が開発されている場合もあります。このような団地開発計画にも診療所用地を用意しているところもあります。デベロッパーなどから情報を入手し、開業地として選定候補にあげることも必要です。

(8)施設医療プラス在宅医療

施設医療(待ちの医療)から在宅医療(動く医療)も今後重要視されてきています。老人訪問看護ステーション、老人デイケア、グループ・ホームなどへの取組みも必要となるでしょう。

(9)在宅医療

在宅医療は、病院の入院、診療所の外来に次ぐ第三の医療ともいわれています。在宅医療の基本的理念は「生活の場で提供される医療」ということです。戦後、医学の発展と経済復興が疾病構造を変化させ、その結果、慢性疾患を増加させるとともに、平均寿命を延長させ、高齢社会へとなってきています。そして、病弱な要介護老人だけでなく寝たきり老人や老人や痴呆性老人の増加、さらに核家族化により虚弱老人世帯や独居老人が増え、高齢者の多様なニーズがでてきました。それらは高度専門医療や入院医療では解決できない疾病であり、要介護状態であり、退院しても家で生活できる条件がないため、「社会的入院」の増加をきたしました。その結果、医療費の高騰につながる要因となり、長期入院の弊害の反省から虚弱要介護老人のQOL(生活の質)として家・地域で生活できる条件づくりが求められ、在宅医療、訪問医療の必要性が増大しています。最近では、「在宅医療」のみを行う無床診療所が全国各地に開設されています。

【表1-1】一戸建診療所とのメリット・デメリット

一戸建診療所 ビル内診療所
メリット ●診療スペースや医療機器をある程度自由に決めることができる
●診療所が担保となるために比較的、開業資金を借入れしやすい
●診療と家庭生活の区分ができる(職住分離)
●開業資金は少ない金額で可能になる
デメリット ●診療と家庭生活の区分が難しい
●開業資金が多額になる
●土地の手当てが難しい
●診療所は担保にはできないので、多額の借入金は難しくなる
●診療所のスペースや医療機器が限られる
注意すべき事項 ●患者は、地域住民(主婦、子供、老人)が主体
●診療科目としては、内科、小児科、産婦人科、外科、整形外科
●将来、修繕費、改装費が必要になる
●学校医などになることにより、患者を確保できる
●駐車場を確保する
●オフィス街では、患者はサラリーマンが主体
●診療科目は耳鼻咽喉科、眼科、皮膚科、内科
●家賃の上昇率が、診療収入の伸びを上回ると、経営的に苦しい
●産業医になることにより、患者を確保できる
●ビル自体の集客力(銀行、飲食店などのテナントの有無を確かめる)

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