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定員規模区分を五つに 厚労省案 介護報酬を適正化

特養ホームの介護報酬は定員数に応じて「29人以下」「30人」「31人以上」の3区分となっているが、厚労省は「31人以上」を「31~50人」「51~80人」「81人以上」に細分化する考えだ。

厚労省の経営実態調査では、定員81人以上の施設で収支差率が10%を超えることが判明。職員1人当たりの利用者数も規模が大きいほど多いという。また、入所者の平均要介護度が低い施設ほど収支差率が高いため、これについても介護報酬の適正化を図る。

昨年の社保審介護保険部会で両論併記となった「介護保険3施設における多床室室料の自己負担化」も再浮上した。負担額は100人定員の施設で1人当たり1ヵ月8000円。厚労省は、それをユニット型個室入所者の負担軽減に充てることを提案した。

2012年4月1日以降に新設される特養ホームで、居室定員が2人以上の施設については介護報酬を減額する方針。地方自治体の判断で2人以上の施設も作れるが、「減額は事実上のペナルティーだ」と反発する声もある。

このほか、外部の医師が医療保険によって特養ホーム入所者を診療できる範囲を、現在の「緊急の場合」「がん末期の看取り」「配置医師の専門外の傷病(眼科など)」から広げ、ターミナルケアを推進する。ただし、対象となる疾病と期間を区切った限定的な拡大になる見通しだ。

これらに対し、村上勝彦・全国老人福祉施設協議会総務・組合委員長は「多床室の室料徴収は基本的に反対だ。また、利用者は定員規模を見て施設に入所する訳ではない。定員規模によって利用者負担が変わるのはいかがなものか」と異論を唱えた。

多床室の室料徴収については、他にも複数の委員が反対意見を表明。その他、特養ホームの医師を常勤配置することを望む意見、定員規模の大きい施設の報酬を引き下げることに反対する意見が上がった。

【老健はベッド回転率評価】

老健施設は、在宅復帰機能に着目して新類型を設け、報酬に差をつける。具体的には、①退所者に占める自宅、高齢者専用賃貸住宅などへの復帰者の割合が高い②ベッド回転率が高いの2点を満たす施設の報酬を高く設定する。

現行の在宅復帰支援機能加算にも、ベッド回転率を算定要件に追加する。ベッド回転率とは、例えば100床の施設で1ヵ月に10人が入所、10人が退所した場合に10%と計算する。施設と自宅を行き来しながら在宅生活の定着を図ることがその狙いという。

施設入所1ヵ月前までに利用者宅を訪問し、施設サービス計画を作ることも加算で評価する。「在宅復帰を促すには、入所前の生活環境などを把握して〝出口〟をイメージすることが大切」という発想だ。

これらに対し、山田和彦・全国老人保健施設協会長は「ベッド回転率で評価すると、特養ホーム待機者がいる老健施設へのペナルティーととらえかねない」と指摘。他の委員からも「軽い人だけを受け入れて自宅に返すことになりかねない」と懸念する声が上がった。

【介護療養病床は適正化】

介護療養型医療施設は、報酬を適正化しつつ、介護療養型老健施設への転換を促す。より医療ニーズの高い利用者を受け入れる「介護療養型老健施設(強化型)」を設け報酬を高くする。転換時の増床も条件付きで認める。介護療養型老健施設のターミナルケア加算も、従来型老健施設より高くする。

【小規模多機能サテライト】

小規模多機能型居宅介護は、一つの本体事業所につき二つまでサテライト型事業所(登録定員18人まで)を認める。車などでの移動時間が20分未満の距離にあることがその条件。サテライトの利用者が、本体に泊まることも可能とする。

事業所指定は、本体とサテライトがそれぞれ受ける必要があるが、サテライトには代表者、管理者、看護職員、ケアマネジャー、夜間の宿直者を置かずに本体と兼務できるようにする。介護報酬は本体と同じ。

サテライトを認めることについては、基本的に賛同する意見が大勢を占めたが、「単に拠点の数を増やせば良いというのではなく、3年程度の実績がある事業所に限って認めるべきだ」「宿直が兼務であるならば安心して利用できない」など慎重な検討を求める声もあった。

【室料徴収など修正案】

分科会で厚労省は、反対意見の多かった多床室の室料負担について、所得が第4段階の人(本人の年金収入が211万円以上)以上に限り徴収する修正案を提示。それでも委員からの反論は収まらなかった。

訪問介護については、身体介護の「30分未満」の区分を「20分未満」と「20分以上30分未満」に分ける案を提示。分科会では、20分で区分することについて「慎重に検討する」としていたが、要介護3以上の人など一定の要件を満たした人の利用を想定し、一定の要件を満たす事業所に算定する。

短期入所の専用床の5%確保を評価する「空床確保加算(仮称)」は、算定要件を当初の想定より厳格にする。小規模多機能型居宅介護のサテライト開設も「医療・介護・福祉サービスについて3年以上の実績を有する事業者」など要件を加える。

定期巡回・随時対応型訪問サービスも。9月に示していた事業所の人員配置と比べ、ハードルを上げる。看護職員については「サービス提供に必要な数以上」としていたが、修正案では「常勤換算方法で2.5人以上」とした。随時コールを受けるオペレーターの要件も厳格化した。

【認知症GHは夜間強化】

認知症グループホーム(GH)については、夜間の職員体制を強化する。現在、2ユニットに1人の夜勤職員を認めているが、原則1ユニット1人に改める。現行の夜間ケア加算(1人当たり1日25単位)は引き上げる方向で検討する。

一方、切り下げもある。現在の基本報酬は要介護度ごとの差があまりない「フラット型」だが、平均要介護度の低い事業所ほど収支差率が高いことから、メリハリを付ける。同様に、ユニット数が多いほど収支差率が高いことから、ユニット数でも差を設ける。このほか、介護職員がたんの吸引をする特養ホーム、訪問介護事業所について、現行の加算を算定しやすくする要介護緩和の案を示した。

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