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障害者新法案、国会提出へ!

障害者自立支援法に代わる新法案が国会提出され、改正もいよいよ大詰めを迎えることとなりました。

「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)」と題されたこの法案の理念は『地域社会における共生の実現』であり、やはり目指すところは障害者の社会参加。隔離保護路線からの脱却こそが障害者福祉の使命である、とメッセージが込められたようなこの法案に障害者の方々からも賛否両論あるようですが、今回はまず総合支援法の中身を見ていきたいと思います。

【障害福祉サービスの拡充】

① 障害者の範囲の見直し(難病等を加える)
② 重度訪問介護の対象拡大
③ 共同生活介護(ケアホーム)を共同生活援助(グループホーム)へ一元化
④ 地域生活支援事業の追加(啓発、研修、手話通訳者養成事業等)

今回の法案に盛り込まれた制度上の主な改正点は上記の4点であり、どれも障害者サービスの拡充となってはいるものの、期待されていた大幅改正とは大きく乖離した結果になったことは一目瞭然です。サービス利用料無償化などの要望は完全に却下されています。では、利用者の負担軽減や支援拡大を主としていないこの法案の真意は一体何処にあるのか、その答えは次の条文にあるのだと考えられます。

第一条の二、障害者及び障害児が日常生活又は社会生活を営むための支援は全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するため、全ての障害者及び障害児が可能な限りその身近な場所において必要な日常生活又は社会生活を営むための支援を受けられることにより社会参加の機会が確保されること及びどこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと並びに障害者及び障害児にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものの除去に資することを旨として、総合的かつ計画的に行わなければならない

つまり、障害者の保護ではなく社会参加に財源を配分していこうというのがこの法案の真意ではないかと感じます。よって、まだ具体的な施策は打ち出されていないものの、今後、障害者福祉においては障害者の社会参加に関連した助成等が充実されていくのだろうと予想されます。それが受け入れる側、すなわち障害者を雇用する一般企業等に配分されるのか、送り出す側の障害福祉事業者に配分されるのか、今後の改正の動向を注視して見極めていかなければならないでしょう。将来的には、社会参加に貢献した施設に対する加算が制定されていく可能性もあるのではないかと考えます。就労支援事業を行っている事業者は、障害者の社会参加が実現できるような体制を今から整えておくべきだろうと思います。

【障害者側の要望は先延ばし?】

一.政府は、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向けてこの法律の、障害者等の支援に係る施策を段階的に講ずるため、施行後三年を目途として、障害者総合支援法第一条の二に規定する基本理念を勘案し、常時介護を要する障害者等に対する支援、障害者等の移動の支援、障害者の就労の支援その他の障害福祉サービスの在り方、障害程度区分の認定を含めた支給決定の在り方、手話通訳等を行う者の派遣その他の聴覚、言語機能、音声機能その他の障害のため意思疎通を図ることに支障がある障害者等に対する支援の在り方等について検討を加え、その結果に基づいて、所要の措置を講ずるものとすること。
二.政府は、一の検討を加えようとするときは、障害者等及びその家族その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとすること。

法案要綱には上記のように記されており、制度改正の要望が強かった障害福祉サービスの在り方の見直しや障害区分認定などは今後の検討事項として盛り込むこととなりました。結局、自立支援法の改正を迫った障害者側の意見はほとんど反映されずに進んだ今回の改正、3年という目途も考慮すると、今の路線でやるだけやってダメならしぶしぶ意見を取り入れようじゃないか、というのが政府の態度のようにも思えます。平等な人権という大義名分の下に障害者を特別扱いしないことが果たして本当に障害者の幸福に繋がるのか・・・我が国の障害者福祉制度は今、大きな岐路を迎えていると言えるでしょう。

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